神戸新聞文芸 掲載作品(入選作品)…児島庸晃
〇短歌部門〇
2011年神戸新聞文芸年間賞 短歌部門最優秀賞受賞
「神戸新聞文芸」2011年の最優秀賞の発表が12月26日にあり、短歌部門の最優秀賞に私(児島庸晃)の次の作品が新聞紙上に掲載されました。
車椅子少女に沙羅の花は照るその純白の一分一秒
この作品は12月19日に掲載された特選作品でした。選者は尾崎まゆみさんです。選者は塚本邦雄氏の門下で1991年短歌研究新人賞を「微熱海域」で受賞された方です。
以下は尾崎まゆみさんの選評です。
年間最優秀賞 は、今年一月から十二月までの特選短歌が対象となる。私がこの欄を担当したのは十月からなので、米口實氏が選ばれた特選の作品もじっくりと読ませていただき、児島庸晃さんの「沙羅の花」を選んだ。児島さんは、この三カ月、毎月目を見張るような作品を寄せられて、気がついたら特選に二度も選んでしまっていたというのも理由の一つ。しかも、回を重ねるごとに、上達されているような感じさえある。
十月
蛇口より水は脱皮をくりかえす手を洗いては心洗いて
十一月
大きめの百合になる花ふたつほど自爆時刻の来るを知ってか
比喩など、短歌のさまざまな技法を知っていて、安心感があり信頼できる才能を感じる。そこまでなら、他の特選の歌と大差はない。決め手となったのは、「その純白の一分一秒」に込められた、祈りのような感情。短歌は言葉で心を映しとるもの。選者となった最初の年に、このような秀歌に出会えたことを、うれしく思う。
以下は私の受賞の言葉です。
日本語独特の言葉の味に魅かれて、私なりの短歌を作り、発表をためらっていたのですが…。今は感謝の気持ちでいっぱいです。
感覚がうまく伝達できなければ言葉の力を失います。伝達が過ぎれば言葉の魅力をなくします。これからも日常生活の緊張感や臨場感を大切に、言葉の味付けをしてゆきたいと思います。